そして誰もいなくなった

夕食後の団欒がそこにあった。

和気藹々。
まさにそんな言葉がピッタリの光景。

いつものように携帯ゲーム機を片手にソファに座り
テレビをチラ見している長女。

部活疲れで眠たいのか?
いつもよりかなりハイテンションで喋りまくる次女。

点いていないストーブの前で寝転がっている猫。

平和な時間だ。


テレビでは嵐が歌っていた。
するとそれを観ていた父は娘らに訊いた。

「そういやさ。嵐を一文字で言うと何か知ってる?」

「漢字で<嵐>じゃないの?」

「バカか。それじゃ問題にならんだろ?」

「じゃ、何?」

ニヤリとするとしたり顔で父は言った。