門井慶喜(かどいよしのぶ)の「家康、江戸を建てる」。

★3.5 家康の江戸入り後の城下町建設を5つの項目に分けて描く物語。

利根川東遷事業を伊奈家の手で、金貨鋳造事業を後藤庄三郎で、神田上水事業を春日与右衛門他の手で、石垣材料の伊豆切り出し事業を石切・吾平で、天守築造を大工・中井正清で。

いずれも興味ある内容で、中でも吾平の石の節理を読む能力の話や、正清が江戸中の壁に使用され始めた漆喰材料の石灰山を探す話などは面白かった。

ただ残念なのはいずれの話も物語性に乏しく物足りなさを感じる。5つの項目を構え、且つ工程の説明を重視し過ぎたためか、ボリューム的に中途半端である。

5つの話をそれぞれ長編で描いても