門井慶喜の「銀河鉄道の父」を読了した。著者は直木賞作家で、推理小説作家、歴史小説家である。本書は、生涯夢を追い続けた宮沢賢治の生涯を、彼を支えた父親政次郎の視点から描いた作品であり、2018年第158回直木賞受賞受賞作である。 岩手県花巻で、先代の喜助の時代から質屋を営む宮沢家の当主である政次郎は、尋常学校の成績はトップクラスだったが、喜助の「質屋に学問はいらね」という信念のため、進学せずに…
門井慶喜の「家康、江戸を建てる」を読了した。著者は推理作家、歴史小説家である。本書は、関東に国替えとなり、江戸に入府した徳川家康の江戸の街の建設を支えた技術者達を描いた物語である。 天正18年(1590年)夏、後北条氏の小田原城陥落を目前にしたある日、徳川家康は豊臣秀吉から、後北条氏の領地であった関東八か国240万石を与えると言われる。しかし、その条件として、徳川氏の故地である三河を初め、家…
門井慶喜の「東京帝大叡古教授」を読了した。著者は推理作家である。本書は、日露戦争期の騒然とした世相下で、熊本から上京した五高生阿蘇藤太が巻き込まれた大学教授連続殺人事件を描いた歴史ミステリーで、七話からなる連作短編集である。 第一話:明治38年の夏8月、熊本の第五高等学校生である本書の主人公は、夏休みを利用し、東京帝国大学法科大学(東京大学法学部の前身)の宇野辺叡古(うのべえいこ)教授を訪ねて…