二人のお母さん

辻村深月の「朝が来る」を読了した。著者はメフィスト賞を受賞してデビューしたミステリー作家で、直木賞も受賞している。最近はミステリー以外の分野の作品も多く、本書は、特別養子制度をモチーフとした物語である。
 川崎市武蔵小杉の高層マンションに住む栗原家に、最近度々無言電話がかかって来る。しかし、その日佐都子が受け取った電話は、五歳になる息子の朝斗が通う幼稚園からで、朝斗が同じマンションに住む友達の大空を、ジャングルジムから突き落としたという内容だった。慌てて幼稚園に駆け付けた佐都子に、朝斗は自分はやっていないと言い、佐都子はそれを信じた。帰宅して電話をかけた