永井路子の「葛の葉抄 只野真葛ものがたり」。

★3.5 伊達家の藩医・工藤平助の娘・真葛の波乱の生涯。

父・平助は「赤蝦夷(ロシア)風説考(1783年)」を著し、林子平の「海国兵談」の序を書いたが、真葛も「むかしばなし」や「独考」など多くの著作を残している。

父親の関係で伊達家の姫に奥勤めし、姫の輿入れで井伊家へ移ったが婚期を逃した。工藤家の没落(贔屓の田沼の失脚)もあり、2度嫁す(いずれも年の離れた後妻)が男運に恵まれず死別。

国許の仙台で著作活動を始め、毒舌の馬琴はじめ多くの著名人とも交流。主家の悲劇や生家の父母兄弟との死別が哀れで、それが著作活動に繋がったのか・・。

文春が新たに文庫出