賞金稼ぎサグワロ

 逢坂剛の「果てしなき追跡」を読了した。著者はミステリー畑出身の直木賞作家でるが、「重蔵始末」シリーズや「鬼平」シリーズ等の時代小説も幅広く手掛けている。本書は、箱館戦争で戦死した筈の元新選組副長土方歳三が生きてアメリカに渡っていたという、架空の物語である。
 武蔵国日野の豪農の家に生まれた時枝新一郎、ゆらの兄妹は、幼い時から土方を兄と慕ってきたが、二人は長じて長崎でオランダ人のフルベッキに師事して英語を学ぶ。その後新選組に入隊した新一郎は、新政府軍に追われて江戸を離れた土方とともに転戦して蝦夷地の箱館に辿り着き、妹のゆらも彼等に付き随って函館にやって来