木下昌輝の「敵の名は、宮本武蔵」。

★3.5 直木賞候補作
武蔵と対決したとする剣豪8人、それぞれの視点で新たな武蔵像を描いていく。

縦糸は武蔵の左足にある青黒い痣、武蔵の出自にからむ謎。シシドといっしょに売られた娘の黒猫には左後足の先のみが白。

そして最後に登場する同じ模様の猫、その猫に語りかける老いた農夫。「弁助(武蔵)よ、お主は誰よりも強くなって、儂(無二)を殺すのだ」と。

これですべての話は繋がるのだが、多視点ゆえか盛り上がりに欠けるのは残念。

「飛刀の間」という概念で武蔵の剣を説明するのは新鮮で面白い。出自に関してはもう少し練ったほうがいいのだが・・・。

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