杉本苑子の「山河寂寥(せきりょう)―ある女官の生涯 (上下)」。

平安時代前半(100余年)の藤原北家の暗躍を描く。視点は女官で最高位(従1位)に上り詰めた藤原淑子(よしこ:838-906)で長良の娘。

《上巻》★3.5
上巻は人臣初の摂政となった藤原良房の権力闘争を「承和の変」「応天門の変」「文徳天皇の怪死」などを通してその死までを描く。

政敵に無実の罪を着せて失脚させるなど、非常に生々しい事件が続くが、淑子の一歩引いた描写が物語を面白くしている。

サブタイトルに「ある女官の生涯」としたのは何故なのか。藤原氏がそこまで陰湿になれるのは何故なのか。どうやって皇位が継承されていくのか。

《下巻》★3.5
下巻は良