薮内佐斗司「仏像風土記 関西、四国、中国、九州」

 本書で紹介される仏像は有名なお像も含まれてはいるが、入門書的位置づけではない。例えば、表紙になっている興福寺の阿修羅像は含まれていない。しかし、隠れた名仏というほどレアでもない。全般的に重文指定の仏像が多い。今回は西日本編で、関西、中四国、九州の3章立てになっているが、全体ボリュームの半数が関西、残りの半数が中四国、九州というバランスだ。やはり圧倒的に関西が多い。

 本書で紹介される仏像が非常に少ない県が2つある。鹿児島県と沖縄県である。仏像が少ない事情は異なる。沖縄県は琉球王国として独立していた時代が長いので、中央政府から仏教が伝来していないためで