1) 大銀杏降る葉燦めき散り尽くす
2) 天空の藍より深き冬穂高
3) 光の矢海一直線に冬落暉
4) 木守柿一二三(ひふみ)残して夕間暮れ
5) 踏み砕く団栗(どんぐり)の音澄み渡る
6) 宿借りの湯加減いかが風呂いとど(いとど=かまどうま)
7) 眠りたる山寺覚まし笹子啼く
8) 狭庭にも笹鳴き立ちてしじま(静寂)止む
9) 大濠を狭(せば)め波間の浮き寝鳥
10)干し棚田どぜう(泥鰌)を掘りて旨し汁
11)志野茶碗湯気立つ茶釜客の有り
12)瀬戸黒に泡立つ抹茶冬に入る
13)京干菓子白磁の煎茶冬お八つ
14)林檎パイ紅茶の友に