11月の俳句帳(55)

1) 大銀杏降る葉燦めき散り尽くす

2) 天空の藍より深き冬穂高

3) 光の矢海一直線に冬落暉

4) 木守柿一二三(ひふみ)残して夕間暮れ

5) 踏み砕く団栗(どんぐり)の音澄み渡る

6) 宿借りの湯加減いかが風呂いとど(いとど=かまどうま)
7) 眠りたる山寺覚まし笹子啼く

8) 狭庭にも笹鳴き立ちてしじま(静寂)止む

9) 大濠を狭(せば)め波間の浮き寝鳥

10)干し棚田どぜう(泥鰌)を掘りて旨し汁

11)志野茶碗湯気立つ茶釜客の有り

12)瀬戸黒に泡立つ抹茶冬に入る

13)京干菓子白磁の煎茶冬お八つ

14)林檎パイ紅茶の友に