「日常・非日常」の日記一覧

会員以外にも公開

9月の俳句帳(125)令和五年9月29日

1)川瀬立ち仔鷺(こさぎ)餌(え)を待つ暮れる秋 2)けふも又餌(え)待つ仔鷺吹く素風(そふう) 3)独り立ち見届く鳥の秋の川 4)見守りて競(きそ)う堀川秋翡翠(あきひすい) 5)銀やんま縄張り守り川面(かわも)翔ぶ 6)秋雷で泡立つ水面(みなも)背びれ跳ね 7)尾を叩き四回(しかい)水面に産む蜻蜓(やんま) 8)店先に鈴虫の鳴く京町家 9)聞香…

会員以外にも公開

8月の俳句帳(124)令和五年8月31日

1)銀鱗の燦めく川面(かわも)水の秋 2)山頂より棚田降下秋茜(あきあかね) 3)山寺の梵鐘(ぼんしょう)途絶え虫の声 4)堀川の水ホバリング銀やんま 5)夜の庭炎夏よ去れとちちろ啼く 6)打ち水の坪庭凜(りん)と静まれリ 7)青柚(あおゆ)軸ぬるめ煎茶(せんちゃ)の赤絵碗 8)雨後の寺苔滴(したた)りて風を呼ぶ 9)山寺の筧(かけい)さらさら風の…

会員以外にも公開

7月の俳句帳(123)令和五年7月31日

1)桟(さん)ずらし風の取り入れ夏障子(しょうじ) 2)地蔵道(みち)浴衣(ゆかた)に下駄の似合う里 3)草木染め淡色涼し竿に干す 4)雷雲や一雨欲しき萎(しお)れ庭 5)古寺(こじ)羅漢(らかん)炎天耐へて顔の笑み 6)初蝉や並木散歩の雨上がり 7)緑陰(りょくいん)のトンネル過ぎて鳥の声 8)炎帝を避けて物陰外歩き 9)海渡るアサギマダラの旅の…

会員以外にも公開

6月の俳句帳(122)令和5年6月30日

1)蒼き音渓流を染め苔茂る 2)せせらぎや鮎の友釣り竿の先 3)竹林を抜けて廃線揚羽行く 4)藍染めの手拭い止まる青蜻蛉(あおとんぼ) 5)清流に揺れる水草糸とんぼ 6)琵琶(びわ)哀し耳無し芳一螢墓 7)ほんのりと足湯温(ぬく)まる青鷺湯 8)青葦(あし)の雀(すずめ)夕宿かしましき 9)陽射し岸塩辛蜻蛉色眼鏡 10)甲高(かんだか)き啼き…

会員以外にも公開

五月の俳句帳(121)令和五年5月31日

1)坪庭の前の座卓や新茶の香 2)箱根八里馬鈴(ばれい)聴く初夏街道図 3)釜飯や浅蜊(あさり)たかんな友集う 4)草笛に寄り添う調べ川瀬音 5)清流や萌ゆる水草青葉風 6)並木雨夜目(よめ)に灯す黄(き)金糸梅 7)群れ盛る灯心岸辺火を灯す  灯心=糸とんぼ 8)森奥にゆらりマントの黒揚羽 9)川杭に残像を遺す青翡翠 10)老鶯の声を合図に…

会員以外にも公開

四月の俳句帳(120)令和五年4月29日

1)和蠟燭(ろうそく)蝶呼ぶ灯り鄙(ひな)の宿 2)山奥の清明な空過疎の里 3)古民家の敷居の段差春カフェ 4)春霖(しゅんりん)やヴィバルデイを聴く庭座敷 5)陶皿を鳴らす雨音春時雨 6)木の芽雨萌葱(もえぎ)の並木観て歩く 7)穀雨来る南高実梅鈴なりに 8)柑橘の花芽累累(るいるい)穀雨庭 9)選挙戦終わりて川辺花筏(いかだ) 10)春愁…

会員以外にも公開

三月の俳句帳(119)令和五年3月30日

1)早蕨(さわらび)と名歌詠みたる老舗(しにせ)菓子 2)北窓を開き蠟燭(ろうそく)薄明かり 3)花筏(いかだ)染井の栄華移ろいて 4)春光に御堂(みどう)の柱木目仏 5)川蛇行春光受けて耀(かがよ)いぬ 6)橋袂(たもと)飛び出す翡翠(ひすい)光る風 7)遡上(そじょう)ぼらぽちぽち海へ水温む 8)雨濠辺初音を洩らす白繁み 9)南高の白梅群れる白…

会員以外にも公開

2月の俳句帳(118)令和五年2月27日

1)朝散歩小枝呼ぶ止む冬並木 2)棟上げや春の足音杵の音 3)浮御堂窓辺ぼんやり春灯し 4)薄氷(うすらい)の溶け行く池に浮御堂 5)声明(しょうみょう)や唸りに春の声灯り 6)庭鶯(うぐいす)機敏なれど音(ね)の洩れず 7)料峭や尿意の切迫道川辺 8)料峭(りょうしょう)を浴びて涙目並木坂 9)ぼらの遡上鷺・人集う春の川 10)方丈の鬼目柱…

会員以外にも公開

1月の俳句帳(117)令和五年1月30日

1)遡上川電光石火の寒翡翠 2)閑寂や添水唐臼冬陽落つ 3)銀鈴を川面に遺し寒翡翠 4)山茶花の蜜吸う鳥や鄙(ひな)の寺 5)京町家障子仄かに人の影 6)冬の園日溜まり集ふ猫会議 7)輪島塗屠蘇器寿ぐ三が日 8)ラジオより謡曲の節淑気帯ぶ 9)鉄瓶の沸きて初釜集ふ声 10)河豚(ふぐ)店の筧(かけい)と蹲踞(つくばい)壺の庭 11)皿て…

会員以外にも公開

12月の俳句帳(116)令和四年12月29日

1)黒ジョカの割り水炭火(すみび)舌に滋味 2)チョコを手にオールド・パーで酌む聖夜 3)文旦酒(ぶんたんしゅ)仕込む塩梅(あんばい)日の短(ひのみじか) 4)燗ぬる目「獺祭」(だっさい)吟味で歳送る 5)凍て月の耿耿(こうこう)照らすウクライナ 6)昏鐘のおちこち伝播(でんぱ)谷凍る 7)弦楽の揺らぎに魅惑月冴ゆる 8)禰宜(ねぎ)歩く下駄音澄みし冬の…

会員以外にも公開

11月の俳句帳(115)令和四年11月29日

1)北斎の大浪(おおなみ)漕ぎて冬支度 2)声明(しょうみょう)や谿(たに)への木霊(こだま)冬に入る 3)苦悩より添水唐臼(そうずからうす)夕陽落つ 4)コロナ禍に併(あわ)せ円高吹く凩(こがらし) 5)雄蟷螂(とうろう)目合(まぐわい)逐えて喰われけり 6)露地奥は行き止まりなり秋の暮れ 7)月蝕や話題かしまし秋夕餉(ゆうげ) 8)畳み目に茶道の所作…

会員以外にも公開

10月の俳句帳(114)令和四年10月31日

1)ぐい飲みを蕎麦猪口(ちょこ)として秋夕餉 2)川散歩しばし浮遊の銀蜻蜓(やんま) 3)そよ風に蝶道の翅(はね)紅葉(もみじ)色 4)盆栽の枝くね曲がる老いの秋 5)家猫の近づく寝床うすら寒 6)掛けマスク通し香(か)を聞く金木犀 7)名古屋城菊花展を観に行かん 8)秋桜(コスモス)や百恵の唄が蘇(よみがへ)る 9)皮むきし茹で衣被(きぬかつぎ)…

会員以外にも公開

9月の俳句帳(113)令和四年9月29日

1)清流の行く先一軒鄙(ひな)の秋 2)秋の蚊に燐寸(マッチ)で線香庭戸口 3)客人を迎へる座敷茶立て虫 4)落ちる葉の舞ふが如き飛ぶ秋蝶 5)空澄みて欄干の群れ朱く翔ぶ 6)蒼輝る鱗翅の一頭庭の秋 7)さらさらと色無き風の竹林 8)藍白の空へ満月二階窓 9)水泡を立ててかわせみ秋の川 10)周回の玻璃(はり)の眼飛行川の秋 11)晩酌…

会員以外にも公開

8月の俳句帳(112)令和四年8月29日

1)どぜう汁(泥鰌汁)誘(いざな)ふ老舗(しにせ)の縄暖簾(なわのれん) 2)秋澄めば渉(わた)る小鷺の川瀬音 3)ひまわりに止まる蝶撃つロシア兵 4)水盤の門扉(もんぴ)へギョロ目の低飛行 5)茂みよりゆらり翔び立つ黒扇(おうぎ) 6)お銭(あし)増(ふ)ゆ蟇口(がまぐち)収む蛇の殼(から) 7)灯の涼し庭の龕灯(がんどう)通り雨 8)風呂上がり藍染め…

会員以外にも公開

7月の俳句帳(111)令和四年7月29日

1)水甕(かめ)の耀(かがよ)ふ門扉(もんぴ)夏とんぼ 2)朝庭の揚羽陽射しに瑞瑞(みずみず)し 3)田仕事の一段落や半夏雨(はんげあめ) 4)夏安居(げあんご)や風呂へ井戸水僧走る 5)庭座敷陽射し遮(さえぎ)る葭簾(よしすだれ) 6)青墨で床の掛け軸団扇風(うちわかぜ) 7)水撒きや坪庭皿の藍濡らし 8)蝉の声今日は雨降り耳の中 9)葉の打ちて高鳴る瓦(かわら)泣く白雨(はく…

会員以外にも公開

6月の俳句帳(110)令和四年6月29日

1)味噌蔵の仕込む麹(こうじ)や黴(かび)の雨 2)梅雨の晴れ日の出一条海落暉(うみらっき) 3)筧水ぽたりぽたりと五月雨寺(さみだれじ) 4)老鶯と和する山寺朝読経(あさどきょう) 5)屏風絵(びょうぶえ)の墨の五彩や余白梅雨 6)青田風棚田の水面波立てり 7)黒楽の茶碗の陰翳(いんえい)初夏茶席 8)縁側へ湯呑みの二つ新茶の香 9)水郷の潮来(いたこ)伊太郎あやめ舟 10)…

会員以外にも公開

5月の俳句帳(109)令和四年5月31日

1)青明かり灯す一山(いちざん)新樹光 2)新樹光塒(ねぐら)へ帰らぬ鳥の声 3)庇(ひさし)より陽射し膨らむ夏座敷 4)青田波螺鈿(らでん)耀(かがよ)ふ棗(なつめ)茶器 5)厳かな雅楽の笙(しょう)や竹の花 6)一枚の青田に落ちる田毎の月 7)卓上のモネの絵葉書睡蓮図 8)古陶や座卓の茶器で新茶呑む 9)さやさやと吹く風さやか竹落ち葉 10)稚魚群れる川辺の散歩青葉風 1…

会員以外にも公開

4月の俳句帳(108)令和四年4月30日

1)きな臭い穀物畠霾(つちふ)れり 2)清明の神より御加護戦火の地 3)木洩れ日を浴びし山門春絵の具 4)川瀬音岩場に残し鳥帰る 5)笙(しょう)の笛光が音へ春雅楽 6)臍(ほぞ)先をはめる槌(つち)音建てる春 7)到来の煎茶白磁で芳(かお)る春 8)蹲踞(つくばい)へ流るる筧(かけい)春調べ 9)ベンチ下伸び放題に草青む 10)葉裏より輝(ひか)る紋白庭を舞ふ 11)黄(き…

会員以外にも公開

3月の俳句帳(107)令和四年3月31日

1)斑鳩(いかるが)の五重の水煙(すいえん)春浅し 2)春茶席透ける青磁の薄明かり 3)宵並木首を竦(すく)める余寒なほ 4)朝読経合わせ鶯法法華経 5)春泥を踏みて並木の雨散歩 6)江戸の粋(いき)帯に根付けの春狐 7)ちらちらと川面に微光風光る 8)蕗(ふき)味噌のほろ苦味や遅朝餉(げ) 9)花筒に紅白椿床柱 10)赤根染め濃く染め出して春茜(あかね) 11)着こなしの所…

会員以外にも公開

2月の俳句帳(106)令和四年2月28日

1)藍染めや春も溶け出る水浅葱 2)鳥影の蠢(うごめ)く斑(はだら)春障子 3)春立ちぬ御手前所作(しょさ)の佇(たたず)まい 4)躙(にじ)り口一期一会の春茶席 5)うすらひ(薄ら氷)の季語に銘(めい)付す京和菓子 6)輝る稚魚飛び込む春の川翡翠 7)伊吹山寒風一聲吹く川辺 8)蠟涙を流し燭台冬終わる 9)掛け軸の薄墨春の仄(ほの)灯り 10)春燈を灯す里山谷の默(もだ) …