ゾンビに囲まれた山荘

 今村昌弘の「屍人荘の殺人」を読了した。著者は本書で第27回鮎川哲也賞を受賞して作家デビューしたミステリー作家であるが、現時点ではフリーターであることしか明らかになっていない。本書では、バイオテロによりクローズドサークル化したペンションで起こった連続殺人事件が描かれる。
 関西にある私立大学の神紅大学経済学部一回生でミステリー愛好家のの葉村譲は、入部を希望したミステリ研究会のレベルの低さに失望し、理学部三回生の明智恭介が会長で唯一の会員であるミステリ愛好会に入会する。明智は優れた推理力の持ち主で、大学の彼方此方に顔を出しては解決すべき事件を探している。そ