春の小川のささやき

 柚木麻子の「さらさら流る」を読了した。著者はオール讀物新人賞を受賞してデビューした小説家で、「ナイルパーチの女子会」で第28回山本周五郎賞を受賞している。本書は、リベンジ・ポルノの被害に遭った女性の苦しみと、それからの立ち直りを描いた物語であり、彼女の現在と学生時代が交互に描かれている。
 28歳の井出菫は、都内の女子高を卒業した後私立大学に推薦入学し、そこを卒業した後に大手コーヒーチェーンの広告宣伝部で働いている。ある日、次期のポスターに起用しようとしている19歳の人気モデルの問題写真がネットに流出しているとの情報があり、菫はネット内でその情報を探し