「柚木麻子」の日記一覧

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受け継がれたシスターフッド

 柚木麻子の「オール・ノット」を読了した。著者は小説家で、「フォーゲットミー、ノットブルー」で2008年第88回オール讀物新人賞を受賞し、同作を収録した「終点のあの子」で2010年に作家デビューしている。本書は、かつては横浜の富豪の娘であったが零落したおばさんと貧乏女子大生との心の交流を描いた物語である。  主人公の真央は実家からの仕送りを受けず、奨学金とアルバイトだけで大学に通っている。その…

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コロナ禍の中の日常

 柚木麻子の「とりあえずお湯わかせ」を読了した。著者はオール讀物新人賞を受賞してデビューした小説家で、「ナイルパーチの女子会」で第28回山本周五郎賞等を受賞している。本書は、2018年から2022年にかけて、子育てをしながらの日常における著者の感想を綴ったエッセイ集である。  本書に掲載されたエッセイは主として、2018年から2020年についてはNHKテキスト「きょうの料理ビギナーズ」に、20…

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大文豪にして名編集者

 柚木麻子の「ついでにジェントルメン-Tired of taking backseat to gentlemen-」を読了した。著者はオール讀物新人賞を受賞してデビューした小説家で、「ナイルパーチの女子会」で第28回山本周五郎賞等を受賞している。本書は、男達に軽視される女性の不本意さをモチーフとした、ノンジャンルの短編集である。  「Come Come Kan!!」:短編小説「そうめんデッドコ…

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シスターフッド

 柚木麻子の「らんたん-Lantern-」を読了した。著者はオール讀物新人賞を受賞してデビューした小説家で、「ナイルパーチの女子会」で第28回山本周五郎賞等を受賞している。本書は、明治時代にアメリカに留学し、帰国後は女性の教育に生涯を捧げた河井道の、歴史的事実に基づくフィクションとしての伝記(評伝小説)である。  物語は大正の最後の年、当時製鉄会社に勤めていた五十一歳の一色乕児が、三十八歳の渡辺…

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著者別インデックス:国内(柚木麻子)

1.本屋さんのダイアナ (2014.04)   https://smcb.jp/diaries/6239480 2.ナイルパーチの女子会 (2015.03)   https://smcb.jp/diaries/6968386 3.奥様はクレイジーフルーツ (2016.05)   https://smcb.jp/diaries/7151703 4.BUTTER (2017.04)  …

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国民的人気のおばあちゃん

 柚木麻子の「マジカルグランマ」を読了した。著者はオール讀物新人賞を受賞してデビューした小説家で、「ナイルパーチの女子会」で第28回山本周五郎賞等を受賞している。本書では、75歳を目前に再デビューした、元女優の正子を襲う毀誉褒貶の嵐を描いたエンターテインメント作品である。  主人公の浜田正子は、大女優北条紀子の主演映画で脇役として18歳でデビューした元女優であるが、映画監督の浜田壮太郎にプロポー…

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デートの呪い

 柚木麻子の「デートクレンジング」を読了した。著者はオール讀物新人賞を受賞してデビューした小説家で、「ナイルパーチの女子会」で第28回山本周五郎賞を受賞している。本書では、三十路半ばの女性達の友情と、婚活と妊活に纏わる悲喜交々の騒動が描かれている。  三十五歳の佐知子と実花は、学生時代からの友人であるが、栄養士だった佐知子は結婚したが子供が生まれないために、仕事を止めて義母の経営する古い喫茶店「…

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女性のための世界名作劇場

 柚木麻子の「名作なんか、こわくない」を読了した。著者はオール讀物新人賞を受賞してデビューした小説家で、「ナイルパーチの女子会」で第28回山本周五郎賞を受賞している。本書は、「PHPスペシャル誌」に五年間に亘って連載された、世界の古今東西の名作を紹介した57篇のエッセイをまとめたものである。  各篇はそれぞれ4ページ程度であるので、その内容の詳細については取り上げないが、各篇ともその内容の紹介…

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春の小川のささやき

 柚木麻子の「さらさら流る」を読了した。著者はオール讀物新人賞を受賞してデビューした小説家で、「ナイルパーチの女子会」で第28回山本周五郎賞を受賞している。本書は、リベンジ・ポルノの被害に遭った女性の苦しみと、それからの立ち直りを描いた物語であり、彼女の現在と学生時代が交互に描かれている。  28歳の井出菫は、都内の女子高を卒業した後私立大学に推薦入学し、そこを卒業した後に大手コーヒーチェーンの…

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七面鳥を焼く女

 柚木麻子の「BUTTER」を読了した。著者はオール讀物新人賞を受賞してデビューした小説家で、「ナイルパーチの女子会」で第28回山本周五郎賞を受賞している。本書は、木嶋佳苗が犯人として最高裁で死刑が確定している「首都圏連続不審死事件」(「婚活殺人事件」)をモチーフとした物語である。  本書の主人公の町田里佳は、166cmの長身でスレンダーであり、女子高生時代には王子様役の「男前」な女性である。里…

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フルーツカクテルはお好き?

 柚木麻子の「奥様はクレイジーフルーツ」を読了した。著者はオール讀物新人賞を受賞してデビューした小説家で、「ナイルパーチの女子会」で第28回山本周五郎賞を受賞している。本書は、結婚3年目にしてセックスレスになったことを悩む30歳の妻の孤独と奮闘?を描いた、12編の連作短編集である。  本書の主人公でアクセサリー・デザイナーの島村(旧姓渡辺)初美は、少し豊満な(デブという意味ではない)ボディの可愛…

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生態系を乱すもの

柚木麻子の「ナイルパーチの女子会」を読了した。著者はオール讀物新人賞を受賞してデビューした小説家である。本書では、ブログがきっかけで偶然出会った、ともに女性の友達がいない二人の女性が描かれている。  本書の主人公の一人は、国内最大手の総合商社中丸商事の食品事業営業部に勤める、30歳の美人キャリアウーマンの志村栄利子である。栄利子は有名私立大学を卒業し、親子二代続けて中丸商事に勤めており、現在も…

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ダイアナの名に籠められた思い

柚木麻子の「本屋さんのダイアナ」を読了した。著者はオール讀物新人賞を受賞してデビューした小説家で、本書は2014年直木賞の候補作にノミネートされている。本書では、小学3年生の時に知り合った読書好きの二人の少女ダイアナと彩子のその後の人生が描かれている。  読書好きで大人しい矢島ダイアナの本名は、漢字の「大穴」である。母親が競馬好きの父親と相談して付けた名前であるが、ダイアナはそれを嫌っていた。ダ…