本屋出た通りで日食観察す

 書肆の灯や夏めく街の灯の中に  五十嵐播水

 銀行も茶舗も本屋も盆休み  辻田克巳

 工員と隣るメーデーの夜の書肆に  石田波郷「春嵐」

 秋うらら後戻りして寄る本屋  武永江邨

 街の書肆少年少女文学全集  アロマ

 秋灯の書肆をオアシスとも思ふ  岩崎照子

 書肆街の茶房古風に秋の薔薇  西島麥南

 書肆街の片蔭つたふ我が家路  西島麦南 人音

 身に沁むや書肆に溢れし文庫本  酒井絹代

 石蕗の崖負うてや港町書店  高田風人子

 赤い羽根つけたる夫と書肆に会ふ  小笠原あや子

 切山椒買うて仲見世書肆に寄る  石原八束