帚木蓬生 の 襲来 上下

★3.6 日蓮と元寇の物語を仕えた見助の視点で描く。

〈上巻〉
物語は日蓮の生まれた安房の東岸・小湊(片海)で始まる。下総の守護・千葉氏に仕える富木常忍の片海館の下人として漁をして働く見助(けんすけ)は15歳。孤児の見助は主の命で、諸国を修行して清澄寺に帰った日蓮(1253年)に従い鎌倉に行くことになった。鎌倉の松葉谷に庵を構え、市中で辻説法を行う日蓮の世話をする。日蓮は立正安国論を著わし、前執権の北条時頼に送るが、草庵が焼き討ちされるも難を逃れる。

頼朝が信じた法華経を唯一の経典と信じる日蓮ではあるが、北条氏のこの時代は臨済禅が全盛となっていた。一