音羽散歩 ―桂昌院の護国寺を訪れて―

夏が秋の足音を押しとどめるように頑張っていた暑い日のこと、音羽にある護国寺を訪れた。音羽通りが不忍通りと交差する向かいに朱塗りの仁王門が据わっている。
この寺の境内は少年時代の格好の遊び場だった。もう60年余前のことである。不忍通りに都電が走り、この門の近くまで運んでくれたり、時には1時間以上かけて歩いて行ったことを思い出す。
当然のことだが全くと言っていいほど昔の面影はない、というより思い出しようがないほど様変わりしている。それこそ浦島太郎だ。
朱塗りの仁王門を潜ると右手に露座の大仏、左手に多宝塔そして正面に本堂へ通じる石段が・・・。少し、そういえば、