黄葉に木の実拾って秋の森

   「アロマ」の句


 路地裏のざわめく様子秋の暮れ

 稲田あり麦藁帽子の案山子見る

 湖の渇水宝剣上ぐる少女かな

 四阿に秋の七草夕茜  

 境内の裏庭一匹アキアカネ

 英彦山晴れて辺り草紅葉

 一面にアキノキリンソウ野を覆う

 紅葉茶屋遥かを眺め暮れ泥む

 竜胆の匂い立つかに咲き初めて

 紫に透ける葡萄の麗しく

 黄葉に木の実拾って秋の森

 
   「中村汀女」句


 梨食うぶ雨後の港のあきらかや

 秋草の花こまやかやどの道も

 山荘の秋の日差の小間を愛で

 砂浜の砂あたたかき粟筵

 草の実にすうと汽笛のうすれつつ