永井紗耶子 の 横濱王

★3.7 関東大震災で肉親を失った男女を通じ、震災復興に尽力した富豪・原三渓を描く。

昭和13年、横浜に帰ってきた青年実業家の瀬田修司はジャズ歌手の絵里子に再会する。2人は被災時に三渓に恩があった。

瀬田は原三渓からの出資を得ようと関係者に聞き取りを行うが・・。絹で財をなし、富岡製糸場他を所有した大富豪は、私財を投じ色んな事業を行っていた。だが、10数人を取材しても醜聞のひとつも聞くことができない。

物語は三渓の本業には触れず、震災復興や芸術・文化への支援事業などの人間三渓を間接的に描いていく。

横浜出身の作者、地元の歴史も紹介したかったのかも。