早摘みの桃の実包む餡と餅

 あぢはひは百一日のさももかな  正盛

 くつきりと山や早桃に雨意ふかく  加藤 耕子

 くひながら夏桃売のいそぎけり  正岡子規

 よくしやべる少女等早桃むきながら  五十嵐波津子

 雲の涌く谷のふかみの早桃かな  松瀬青々

 夏桃のひそかに紅きところ吸ふ  吉田汀史「四睡」

 夏桃はまだ毛の多き苦さ哉  夏桃 正岡子規

 夏桃や次の匙待つ離乳の児  小川ユキ子

 魂棚の早桃の匂ふことしきり  大橋敦子 匂 玉

 山越えの夢すてがたし早桃食ふ  和泉瑞枝

 持ちこみし早桃の匂ふ釜石線  松本篤子

 時計屋も夏桃店も埃哉 夏桃  正