文芸春秋編 「藤沢周平のこころ」文庫

多くの作家や著名人による藤沢作品に関するエッセイや対談集。過去のものの転載や新たに掲載のものもある。

面白いのは皆の好みの作品がバラけていること。特に短編についてはそれが顕著である。それだけ広範な要素を持つ作品群を残したといえるのかもしれない。

佐伯泰英の「用心棒日月抄」に関する記述は象徴的、地方の藩を出奔し江戸で生活する浪人物語の典型スタイルでもある。この作品こそ多くの作家に影響を与え続けるに違いない。

作品の読み方についての教示も多い。「風の果て」は読む者によって思いが皆異なると言われてきたが、同じことが他の作品にも言えるようだ。再読してみよう