連載:癌2

「がんを生きる」

「用があるので失礼します」
店を出るとそう言って私は走り出した。すぐに息が切れた。赤信号でよかった。渡るとまた走った。

続けては走れない。当然だ。仕事した後だ。同僚が具合悪く出勤できなくなったと上司から電話があったのが前日。翌日の予定は5時からの忘年会だけ。引き受けるしかない。それで急遽仕事となった。

もちろん自転車で出社しているから「頑張れ大腿四頭筋」とつぶやきながら帰りの坂道なんぞは昔懐かし「立ち漕ぎ」までやってのけた。

スーパーはお惣菜コーナーに直行し、マカロニサラダとチキンの照り焼きを籠に入れる。玄関前の階段も急いでいるからか殊更自転車が重