いつまで経っても来なかった。違うコースにでも行ったのだろうか。今までなら私と一緒に走り出しても、私はすぐに周回遅れになり、みんな私をまた追い越して行った。だが、カントクが一緒に行くとは思えない。
何度かきょろきょろ後ろを見たが、林の中はしんと静まり返っている。この林は新年になったら綺麗に雑木が刈り取られ、見通しが良くなっている。このまま一人で走ろう。
最初の2周は出来るだけ速く走った。駅伝とちょうど同じくらいの距離だ。それからは今まで通りにゆっくりと走っていた。
やがて後ろから話し声が聞こえて来た。
「6分半くらいだね」
「そうだね」
自分たちのタ
連載:日常3