ほのぼのと夢の続きを春の朝


 少年に空とぶ夢や春の山  大串 章

 師弟共に若かりし夢春暁に  野中英照

 御昼まで忘れずにゐる春の夢  桑原三郎 晝夜 以後

 吸ひなづむ霞か雲か春の夢  三橋敏雄

 吾妹子を夢みる春の夜となりね  夏目漱石 明治三十四年

 地卵に目鼻を入れし春の夢  嶋田麻紀

 声あげて夢の師とあふ春霰  加藤楸邨

 夜半の春するりするりと夢をぬぐ  川田由美子

 夢さめてさめたる夢は恋はねども春荒寥とわがいのちあり  筏井嘉一

 夢に見しことのある日や春暮れぬ  安斎櫻[カイ]子

 夢のつづきの夫こそありぬ春あけぼの  大石悦子 群萌