小説「八ヶ岳南麓に生きるー源清光の生きざま」(3)

 清光の居城、谷戸城から遥かに南の方角に小さく形よく座している富士山は見事に美しく見える。
 しかし、八ヶ岳南麓に住み付いている清光にとっては、すぐ間近に迫って見える、清光や彼の一族郎党を抱き包んでくれている八ヶ岳は特に、清光自身の自然の母親のように親密に眺められるのであった。
 この谷戸城の大広間には、清光の長男の光長。二男の信義。三男の遠光。を含む、息子たちが座を占めていた。この息子たちは、長男、二男、三男と、この谷戸城のある八ヶ岳南麓から、順次に、甲府盆地へと続く領地を所有し、居住しているのであった。そして、その領地のそれぞれが、その領地の領主とし