「八ヶ岳南麓」の日記一覧

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『朝ごはん』(川上健一著)は、氏の話した小説創作方法を見事に実践した面白い感動的な小説だった

 『朝ごはん』は、「自分に就職して大正解でした」「人の世は縁だって思うよねえ」 「今の自分は、昔のいろんなことがあった自分があるからだよねえ」「私って情けなかったことだらけとか、ダメだらけだったんだけど、今の私があるのはそういうことを経験したからなんだってつくづく思うんです」と。 ー 春  島森慶。 好きで入った図書館を、自分のわがままで2年で辞めてしまったたたりだから。 八ヶ岳南麓。標高1…

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小説「八ヶ岳南麓に生きるー源清光の生きざま」(最終回)

 しかしまた、武田信義の五男、石和信光は、頼朝に失脚させられた、父・武田信義の跡を継ぎ、武田氏の嫡流を継承したのであった。  また、源清光の三男、加賀美遠光は、その息子、小笠原長清と共に、頼朝に接近し、長清は、頼朝の斡旋で、平広常の婿になった。また、遠光の娘の大弐の局は、頼朝の嫡男・頼家の養育係になった。  しかし、甲斐源氏の一族は、大部分が頼朝による鎌倉幕府の権力争いの巻き添えになり、滅亡され…

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小説「八ヶ岳南麓に生きるー源清光の生きざま」(4)

 今、二男の信義にお酌をしている女は、清光が30代ぐらいの年齢だったら交わりを結びたいような可愛い女である。信義は、どうするのか分からないが、その女を見る信義の目つきは、一目ぼれしているような顔つきである。過ちを犯さなければいいが、と思いながら、清光は、信義へ向けた視線を外した。  今の時代、京の都では、平氏の勢いが強く平清盛が、権力を欲しいままに行使している。清光を含めた源氏の勢力は、平清盛の…

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小説「八ヶ岳南麓に生きるー源清光の生きざま」(3)

 清光の居城、谷戸城から遥かに南の方角に小さく形よく座している富士山は見事に美しく見える。  しかし、八ヶ岳南麓に住み付いている清光にとっては、すぐ間近に迫って見える、清光や彼の一族郎党を抱き包んでくれている八ヶ岳は特に、清光自身の自然の母親のように親密に眺められるのであった。  この谷戸城の大広間には、清光の長男の光長。二男の信義。三男の遠光。を含む、息子たちが座を占めていた。この息子たちは、…

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「八ヶ岳南麓に生きるー源清光の生きざま」(2)

 清光は、女が好きだったが、馬も好きだった。馬の魅力に惹かれて、甲斐の国の良馬の産地である、甲府盆地の北方、八ヶ岳南麓に移住したのだった。八ヶ岳南麓は良馬の産地であるばかりでなく、馬を乗り回すのにも絶好の場所だった。  時代は、貴族社会から武家社会に移行する過渡期であり、領地を巡る争いや闘いに、馬が使われることが多かった。  また、八ヶ岳南麓は、古代から、朝廷に献上される馬が飼育されていて、その…

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小説「八ヶ岳南麓に生きるー源清光の生きざま」(1)

「八ヶ岳南麓に生きるー源清光の生きざま」 植松自由人 1  源清光は54歳になる。此処、八ヶ岳南麓にある谷戸城には、清光の54歳の誕生日を祝って、甲府盆地一帯に所領を持ち居住している、彼の息子たちが集まって来ていた。  清光には、息子だけでも15人あり、娘を加えれば20人以上の子供たちがいるのである。子宝に恵まれた武人だというのが、清光の代名詞のように思われている。  その理由は、清光が生まれな…