小説「八ヶ岳南麓に生きるー源清光の生きざま」(4)

 今、二男の信義にお酌をしている女は、清光が30代ぐらいの年齢だったら交わりを結びたいような可愛い女である。信義は、どうするのか分からないが、その女を見る信義の目つきは、一目ぼれしているような顔つきである。過ちを犯さなければいいが、と思いながら、清光は、信義へ向けた視線を外した。
 今の時代、京の都では、平氏の勢いが強く平清盛が、権力を欲しいままに行使している。清光を含めた源氏の勢力は、平清盛の支配する平氏の権力の下に封じ込められている。
 こうした時代状況においては、清光も、都へと向ける野心を抑えざるを得ない。
 そしてまた、常陸の国に生まれ、甲斐の国