沖縄の戦後史と絶妙にリンクしたエンターテイメント「宝島」(真藤順丈:講談社)

 160回直木賞受賞作品。

 物語の始まりは1952年、日本本土は占領を脱したが、沖縄は未だ米軍の占領状態が続き、朝鮮戦争からベトナム戦争にかけてアメリカのアジア戦略の拠点となり、基地の収用続いている時だ。この頃、沖縄では「戦果アギヤー」と呼ばれる、米軍倉庫を狙った窃盗団が暗躍し始める。主人公達は、ゴザ(現在の沖縄市)の「戦果アギアー」に身を置く3人の若者。リーダーの「オンチャン」以下強い絆で結ばれた若きアウトロー達である。話は、「戦果アギアー」の最後の「闘い」でリーダーを失い、一人(リーダーの弟レイ)は、アウトローとして「闘い」続け、もう一人のリーダ