「血脈(下)」佐藤愛子著を読む(2)

「血脈下」
ー「愛子さんは憤怒を食べて生きてるんだね」
川上宗薫はそういった。
 父の軽率さ、単純さ、信じ易さはそっくり愛子に伝わっていた。何んて馬鹿な情熱だろう。
だけどお父さんは乗り越えた、と愛子は思った。誰からも助けられなかった。理解されなかった。一人で闘って一人で脱け出た。
ー人は負けるとわかっていても、どうしても戦わなければならない場合がある。-バイロン
 「何だってかんだって、みんなメシの種よ。巣を張って、小虫が引っかかってくるのを待ってる毒グモみたいなもんだから、私は」
とにもかくにも愛子は生きなければならなかったのだ。
 それは泣きしきる