連載:癌2

「癌のお蔭で」

「白っぽい。」
私がそう言うと、中学生のような顔をした女性店員は言った。
「明る過ぎるんですよ」
難しい。1ページずつ捲っていく。おお、これはなかなかいい、地面に散らばったモミジが緑色の苔に映えている。

こどもの頃、夏休み最後の日に宿題の読書感想文を書いたように、いつやってもいいものは、いつまで経ってもやらない。

写真を片付けておこう。

キタムラに行く前に今まで作ったフォトブックを引っ張り出してみた。最初に作ったのは四日市の工場夜景を撮った『宝石箱四日市』、今見てもほれぼれする。私の欠点はこれだ。最初の出来栄えに満足してしまう。

最後は2017年