藤井邦夫 の 隠居の初恋-新・知らぬが半兵衛手控帖(7)

★3.3 新シリーズ7作目。年3作*4編で、出版月が物語の季節の推移に合ってきた。

今回の特徴は《前振り効果》が2編。「冬の幽霊」では番頭による主の暗殺事件が盗賊宿の摘発へ繋がる話。「隠居の初恋」では隠居と若い女の話が仇討譚へと繋がる。
・《前振り》は読者の予想とは違う方向へ話を持っていき、興味をより引き立てる小説手法のこと。

面白いのは定町廻り同心の風間鉄之助に手柄を譲る2編が含まれていること。「冬の幽霊」では盗賊捕縛を、「似た男」では出版元吟味を、吟味方与力の大久保忠左衛門を通じて与えている。

半兵衛の就く《臨時廻り同心》というのは、本来は経験