メルキト族との闘い

 北方謙三の「チンギス紀 (四) 遠雷」を読了した。著者はハードボイルド出身の作家であるが、先日完結した大水滸シリーズ等、最近は中国史を題材とした歴史小説が多い。本書は、ユーラシア大陸に拡がる大帝国の礎を築いた英雄チンギス・カンの人生を描いた物語の第四巻であり、モンゴル草原における覇権争いに関与し始めたテムジンの姿が描かれる。
 鉄鉱石を運ぶ船の建造の情報収集にために豊海(バイカル)に派遣した人員を殺害した、メルキト族のダレル・ウスンを討ったことから、モンゴル族のキャト氏を率いるテムジンは、メルキト族の族長トクトアと対立する。テムジンは、領地を接している