あけび庵の俳句日記

清崎敏郎の俳句まとめ

口まげしそれがあくびや蝶の昼
滝落としたり落としたり落としたり
コスモスの押しよせてゐる厨口
うすうすとしかもさだかに天の川
枯木立どの幹となく揺れはじむ
湖の闇波見えてゐて鴨見えず
春眠の覚めつつ母の家なりし
海女小屋の梅雨の暗さにものを吊り
夜焚の火いよよ明るく暮れてきし
深雪の燈灯れる駅を通過せり
     **
芦の間の薄氷を日のかがやかす
昨日今日波音のなし白子干
春寒く焚き捨ての火のいつまでも
田螺和地酒は舌に響きけり
耕されひつくりかへりをる穭
花魁草咲き霧つぽき駐車場
ナイターに入りし蝙蝠飛びはじめ
堰切つて動く群