木内昇 の 万波を翔る

★3.5 幕末に幕府の外交畑に身を置いた田辺太一の眼を通し、幕府外交の苦難を描く。

著名な人物ではないものの、江戸開城までの10年間を外交職に就き、維新後も新政府の外務省で尽力し、回顧録も残っていることからの選定と思われる。

長崎海軍伝習所の3期生というのも勝海舟をすぐに思い出す。咸臨丸で小野友五郎などと小笠原調査をした話はいろんな小説にも登場する。スフィンクス前での写真はよく知られているが、横浜鎖港の折衝での訪仏時の途中のものとは知らなかった。仏での万国博覧会での薩摩の出展で揉めたのは有名ではあるがこれにも携わった。

物語は長崎海軍伝習所から呼び