90代の婆様は、食事を誰よりも美味そうに食べる。
不自由な手にスプーンをもち、目は瞑りよく噛んでいる。時間はかかるが、全てのお皿を綺麗にする。
先日、歯のない人にも喜んでもらえる食事の研修会に参加した。肉も野菜も特殊な液体に浸けておき、見た目は変わらないが口に入れると正体なく消えていくものだ。
試食した。見た目はよく煮染めたタケノコが、口に入れると呆気なく消え去り、得体の知れない物に変わった。不味い。
私は好き嫌いなどない健康優良児を自認してきたが、生まれて初めて不味くて飲み込めなかった。
脳で食べているのだと思った。タケノコはタケノコ固有の