保安官は何でも知っている

 宮部みゆきの「さよならの儀式-8 Science Fiction Stories-」を読了した。著者は直木賞作家で、ミステリー、時代小説、ファンタジー等、レパートリーの広い作家である。本書は、著者の久し振りのSF風味の作品を集めた短編集である。
 「母の法律」:虐待を受けた子供と虐待したその親の両方を救済するための、「マザー法」が施行されている世界の話。その世界では国が、児童虐待が起こった親子の双方の記憶を、記憶沈殿化(デポジット)処理により消去した後に養子縁組をするシステムになっている。しかし、養父母のどちらかが欠けると、片親楊家族は強制的に解体され