11月の俳句帳(79)令和元年11月30日

1)稲架(はさ)もなし藁塚もなし淋し苅田

2)焙じ茶を入れて裏山笹子啼く

3)音立てて帰る杣路(そまみち)しぐるるや

4)落葉し空一枚の蒼さかな

5)手の冷えをもみて立冬寺巡り

6)椎茸の家紋の碗や十兵衛蕎麦

7)寂寞(せきばく)の筧(かけい)打つ音古寺の秋

8)方丈の扉の木目冬山水

9)フルートの沁みる音色に障子閉め

10)凪(なぎ)の海煌めく単帯(ひとえ)冬落暉

11)釣瓶無き冬井戸昭和遠ざかり

12)夕風や羅漢の頬に紅葉降る

13)黄落に夕陽燦々(さんさん)野辺木立

14)かさこそと歩道を駈ける枯れ葉群

15)黒じょかで