連載:蕎麦の食べある記

割烹そば処「松苧」 ―拘りの“ざるそば”―

同級生との旅の二日目は、渓谷トンネルの中から清津峡の絶景を楽しんだ後、松代(まつだい)を目指した。
松代の少し手前で正午になったので、星峠の棚田や松之山の美人林へ行く前に、割烹そば処「松苧」(まつお)で昼餉にすることにした。
二人には早すぎたかも知れないが、道案内の提案に同意した。
店に着くと、我々より五、六歳ほど年上のご主人が、座敷へ案内してくれた。
程なくして、女将さんが、お茶とおしぼりを持ってきた。

A君は“ざるそば”とビール、B君と私は“天ざる”を大盛で頼んだ。
この店は、山菜や野草を使った天ぷらを出すとき、毎回、儀式のように、材料の名前を教え