朧夜の桜の花に佇んで


    「アロマ」の句


 琴の音の長閑に響く料理屋で

 雨催い鶯鳴いて幼声

 清流に鯉の泳いで津和野かな

 春の旅屋上露天の桜かな

 花吹雪路上を流れ城下町

 角館枝垂桜が咲き残り

 数尾の旬の飯蛸茹でて美味

 春雨に仄か紅の傘差して

 朧夜の桜の花に佇んで


   「夏目漱石」の句


 汽車去つて稲の波うつ畑かな

 大藪や数を尽して蜻蛉とぶ

 はらはらとせう事なしに萩の露

 紅葉をば禁裏へ参る琵琶法師

 山鳴るや瀑とうとうと秋の風

 渋柿のしたに稲こく夫婦かな

 瀬の音や渋鮎淵を出で兼る

カテゴリ:アート・文化