連載:運動

「ゆっくりでいい」

また自主練習の日が休みだ。アラームはいつも五時。枕元のラジオを点ける。起きたくない。足元の湯たんぽが心地いい。

うつらうつらラジオを聞くでもなく聞いた。世界の何処かで誰かのために懸命になっている人がいる。

目覚めたら7時を過ぎていた。迷うことなく走る格好に着替えた。

市民の森に行くと既に仲間がいた。一人が犬を連れている。違う、長さを測る輪っかのような器具を転がしているのだ。

ここを走り始めた頃、最初1周800㍍あると聞いたが、途中から700㍍しかないらしいよ、に変わった。

輪っかはなかなか真っ直ぐには進まないが、皆興味津々で続いた。744㍍。一