生者と死者を繋ぐ使命

 辻村深月の「ツナグ」を読了した。著者は直木賞作家で、ミステリー出身であるが、最近はミステリー以外の分野の作品も多い。本書は、死者と生者のそれぞれを、希望する者に一度だけ再開させることのできる使者(ツナグと呼ぶ)を描いた、ファンタジーの連作短編集である。なお本書は、2010年10月刊行(雑誌初出は2009年9月)の作品であり、2012年第32回吉川英治文学新人賞受賞作である。
 ツナグの使命は生者と死者を繋ぐことであるが、死者の言葉を生者に伝えるだけではなく、生前の姿のままの死者を生者に会わせることが出来る。その代わりに、ツナグには厳しいルールが存在する