寝床で本を読みつつ春の雷


  夜には冷え込んできた


 黄昏の灯の浅葱に味噌そえて  舟木令風

 あさつきを小鯛にまぶす若狭かな  石原八束

 けふ秋や朝浴暮浴山浅葱  松根東洋城

 庭に出て浅葱を引く薄月夜  島田とし子

 胡葱や野川するどく街中へ  皆川盤水

 胡葱をくるむ新聞とんがれる  山尾玉藻

  胡葱を朝市に買ふ飛騨の町  石原八束

 夏場は胡葱刻み素麺に  アロマ

 灯の映るものに胡葱膾かな  川崎展宏

 独り酌む胡葱少しあれば足る  加藤 たかし

 浅葱を洗ふ温泉川のけむりあげ  大竹孤悠


 パリは古びの壁ひた濡れて春の雷  有働亨