公安警察の笑うべき闇

 馳星周の「殺しの許可証(ライセンス)-アンタッチャブル 2」を読了した。著者は、現在の日本を代表するロマン・ノワール(暗黒小説)作家の一人であるが、最近は山岳小説等、異なったジャンルの作品も増えている。本書は公安警察の活動をパロディ化したノワール・コメディである。
 本書の主人公は警視庁の宮澤武巡査部長である。宮澤は刑事部捜査一課の刑事だったが、逃走する犯人を私用車で追跡中に事故を起こし、歩行者を植物人間にした上、その犯人が誤認であるという大失策をしたため、「公安部外事三課特別事項捜査係」に左遷される。同係に所属しているのは、自らを公安部の「アンタッチ