流罪になった切支丹の呪い

 宮部みゆきの「黒武御神火御殿-三島屋変調百物語六之続-」を再読した。著者は直木賞作家で、ミステリー、時代劇、ファンタジー等、レパートリーの広い作家である。本書は、「おそろし」「あんじゅう」「泣き童子」「三鬼」「あやかし草紙」に続く、三島屋変調百物語シリーズの第六作目であり、著者お得意の江戸怪異譚である。本書の前作で、シリーズ開始以来の百物語の聞き手のおちかが嫁に行き、本書から三島屋の黒白の間における聞き手が、三島屋の次男の富次郎に代わる。
 「泣きぼくろ」:富次郎が臨む最初の変わり百物語に、三島屋で蝦蟇仙人と呼ばれる口入屋の灯庵の口利きでやって来たのは