35、「雁」(森鴎外著)は明治の大学生の恋を描く

「雁」森鴎外著 新潮文庫 昭和23年12月5日発行
ー明治13年の出来事だ。
 岡田と云う学生。僕より1学年若い。美男だ。
川上眉山が一寸岡田に似ていた。競漕の選手になっていた岡田は、川上なんぞに優っていた。
あれは信頼すべき男だと云う感じが強くなる。
「好く古本屋で出くわすじゃないか」と云うような事を、どっちからか言い出したのが、親し気に物を言った始である。
金瓶梅を見てけて。
無縁坂の南側は岩崎の邸であった。
末造。
お上。お常。「わたしには商用があるのなんのと云って置いて、囲物なんぞを拵えて」
お玉。
この時お玉と識り合ったのが岡田であった。
 岡