「森鴎外」の日記一覧

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森鷗外、自分を探す 出口智之 岩波ジュニア新書

森鷗外って 夏目漱石と並ぶ明治の文豪で、軍医の偉い人。というくらいのイメージしかもっていなかった。 作品もあんまり読んでいない。大体 舞姫の印象が良くない。ドイツに留学中にねんごろになった女が、鴎外の帰国直後に日本にやってきたのをすげなく追い返した。それをそのまま小説に書いた。なんという薄情な奴だと言う印象が心の中に根強く残っていた。 この本の著者は鴎外に傾倒しているようで、僕のよう…

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『阿部一族』 犠牲の精神が生んだ矛盾

 鴎外の『阿部一族』こそ、武士道精神の矛盾を突いた問題作だと、かつて国語の先生が話てくれた。 どの先生なのかはすっかり忘れてしまったが、 鴎外ならば、この本を是非読もうと思ったのも、その先生の感想に影響された事は確かだ。 縁あって熊本に夫が赴任した時、 私は是非『阿部一族』縁の土地を訪ねようと思い立った。 そこは、「北岡自然公園」の名称で知られていた。 鹿児島本線の熊本駅を北に向かった丘の一角…

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読書日記 泡沫(みなわ)の歌 森鴎外と星新一をつなぐ人

ちょっと変わった本です。作者は金井喜美子さん、森鴎外の妹さんです。彼女は明治3年生まれ、結婚したのが小金井良精(よしきよ)氏、二人のお孫さんが星新一さんとなります。 この本は、小金井喜美子さんの著書などを星新一さんの次女星マリナさんが編集したものです。 金井喜美子さんは、森鴎外から文学の素養をうけ、与謝野晶子や鉄幹との交流もあり、短歌集「泡沫千首」など刊行しています。 この本は、明治期の和歌と…

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読書日記 何もなしえなかった男 類 朝井まかて著

NHK朝ドラの「カムカムエブリバディ」で好演する深津絵里さんの類(るい)と関係はないものの、書名が気になって読んだ。 文豪を父にもち、働かなくてもいい人生が用意された男森類の一生を描く。 大正12年森鴎外の死後、類は11歳、進学するも友人もなく、長姉茉莉(まり)次姉の杏奴(あんぬ)とともに過ごし、青年期には茉莉に付き添って巴里への絵画修行にもで出かけ帰国後は画家の真似事をしながら優雅な暮らしを…

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1月1日から15日までに読んだ本

①暁の寺(三島由紀夫 新潮文庫) 2017年10月以来の再読。この巻の主人公は「本多」と言ってよい。本多は「春の雪」で親友の松枝の悲恋に関わり、「奔馬」では松枝の転生である飯沼の自刃に立ち会ってきた。この巻ではタイの姫、ジン・ジャンと出会う。 本多は巨万の富を有する人物となっており、富士山の見える場所に別荘を建て、そこで姫との再会を果たす。若くて美しい肉体を見たいがためにプールまでも設える。同時…

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ゾロアスター教とニーチェ、森鴎外、芥川龍之介、松本清張、司馬遼太郎

ゾロアスター教は善悪二元論を世界で初めて唱えた現在も信者のいる世界最古の宗教と高校の世界史の教科書にも掲載されているが、最近少々疑問を持ち始めた。ユダヤ教の旧約聖書は、紀元前13世紀以上に遡る。モーセの十戒は神との契約をしたものだが、このモーセはユダヤ教だけでなく、キリスト教、イスラム教でも重要人物とされている。 ゾロアスター教は聖典アヴェスタのヤスナの最古の部分ガーサーの言語学的研究から紀元…

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「森鴎外著『雁』」の『読書会』(県立文学館読書会5月9日、参加者5名)

 5月9日の読書会は、常連の5名(鬼丸、塩沢、今村、渡辺、植松)で行いました。  森鴎外著『雁』   塩沢 何とか読了した。よく、「雁」という題名の意味が分からなかったが、最後の方で雁が出て来た。     渡辺 鴎外は、陸軍の軍医総監で、日露戦争で陸軍の将兵が脚気になったのを治せなかった。医者でなく、作家として名を残した。「雁」は、社会風俗をリアルに描き傑作だと思う。   今村 妾のお玉と学生…

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35、『青年』(森鴎外著)は自然主義文学時代の文学希望の青年の生きざま描く

『青年』 森鴎外著 新潮文庫  昭和23年12月15日発行 ー小泉純一。 自分の捜す大石けん太郎という名。 色川国士。 鴎村。 瀬戸速人とはY市の中学で同級にいた。 大石路花。 「大石路花か。なんでもひどく無愛想な奴だということだ。やっぱり君は小説家志願でいるのだね」 「どうなるか知れはしないよ」 「君が東京へ出てから中学へ来た田中という先生があるのだ。その先生が大石と同窓だもんだから、紹介状を…

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35、「雁」(森鴎外著)は明治の大学生の恋を描く

「雁」森鴎外著 新潮文庫 昭和23年12月5日発行 ー明治13年の出来事だ。  岡田と云う学生。僕より1学年若い。美男だ。 川上眉山が一寸岡田に似ていた。競漕の選手になっていた岡田は、川上なんぞに優っていた。 あれは信頼すべき男だと云う感じが強くなる。 「好く古本屋で出くわすじゃないか」と云うような事を、どっちからか言い出したのが、親し気に物を言った始である。 金瓶梅を見てけて。 無縁坂の南側は…

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『山椒太夫』(森鴎外)の安寿

以前、私は盛んに2CHを覗いていた。その頃の話だが、確か『溝口健二』のスレッドがあって、話題が溝口の映画『山椒太夫』に及んでいた。 そのとき誰だが以下のようなコメントを書いていた。 溝口の映画『山椒太夫』において、安寿を厨子王の妹にするのは、溝口は万死に値する。 そういうコメントであった。 私はそれを見て、大いに同感するとリコメントした、。 安寿を妹にするのは、溝口は全く鴎外の小説を理解…

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文学好きには欠かせない、森鴎外旧居跡(池之端)!

水月ホテル鴎外荘に鴎外の旧居跡があります。 ホテルのHPによれば、「ドイツから帰国後、28歳の時に、海軍中将赤松則良の長女登志子と結婚し、上野花園町の赤松家の持家に住んだ。それが当ホテル所有の鷗外荘。ここで舞姫をはじめ、うたかたの記、於母影などの作品が執筆されました。」と。 鴎外がベルリンに住んだときの住居が鴎外記念館となっている。旅行記は: http://ikokuno.web.fc2.co…

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文京区の千駄木へ、須藤公園、森鴎外記念館、大観音を見学

須藤公園が本命だった、 須藤公園は、江戸時代の加賀藩の支藩の大聖寺藩の屋敷跡、その後、長州出身の政治家品川弥二郎の邸宅となり、明治22年(1889年)に実業家須藤吉左衛門が買い取りました。昭和8年(1933年)に須藤家が公園用地として東京市に寄付、昭和25年(1950年)に文京区に移管されました。 高低差のある台地と低地を巧みに生かした公園斜面地には、クスノキなどの大木が豊かな緑をつくりだし…