森鷗外って 夏目漱石と並ぶ明治の文豪で、軍医の偉い人。というくらいのイメージしかもっていなかった。 作品もあんまり読んでいない。大体 舞姫の印象が良くない。ドイツに留学中にねんごろになった女が、鴎外の帰国直後に日本にやってきたのをすげなく追い返した。それをそのまま小説に書いた。なんという薄情な奴だと言う印象が心の中に根強く残っていた。 この本の著者は鴎外に傾倒しているようで、僕のよう…
鴎外の『阿部一族』こそ、武士道精神の矛盾を突いた問題作だと、かつて国語の先生が話てくれた。 どの先生なのかはすっかり忘れてしまったが、 鴎外ならば、この本を是非読もうと思ったのも、その先生の感想に影響された事は確かだ。 縁あって熊本に夫が赴任した時、 私は是非『阿部一族』縁の土地を訪ねようと思い立った。 そこは、「北岡自然公園」の名称で知られていた。 鹿児島本線の熊本駅を北に向かった丘の一角…
以前、私は盛んに2CHを覗いていた。その頃の話だが、確か『溝口健二』のスレッドがあって、話題が溝口の映画『山椒太夫』に及んでいた。 そのとき誰だが以下のようなコメントを書いていた。 溝口の映画『山椒太夫』において、安寿を厨子王の妹にするのは、溝口は万死に値する。 そういうコメントであった。 私はそれを見て、大いに同感するとリコメントした、。 安寿を妹にするのは、溝口は全く鴎外の小説を理解…