連載:心の歌

薫風の思い

  薫風の思い

さわやかな風が吹いている

リラ冷えの空を

そして遠い昔吹いた風を思い出させる

学生のころ通った道を

久しぶりに自転車で通る

もうわずかな坂道も息が切れる

ほほに当たる少し冷たい風が気持ち良く

若い日々がよみがえる

好きだった何人もの娘たち

みんな叶わなかった恋だけど

今となればどれもこれもが愛おしい

そしてわずかだが

私が置き去りにした恋もあった

どれもがみな幸せであればいい

青春という駅に残した荷物たち

今はただただ懐かしい

白いセーラー服たちが

笑い声とともに追い抜いて行く


  ※やり残したこと