連載:倭人伝の真実に迫る

28. 邪馬台国論争と後漢書

邪馬台国は本来、魏志倭人伝の中で論じられるべきだが、近畿説では後漢書が表舞台にでてくる場合がある。白鳥氏は「後漢書の曲筆によって後人を誤らせた」と述べているが「誤らせた」のではなく、どうも利用された感がある。今回は、邪馬台国論争と後漢書について考えてみる。

28.1 陳寿と范曄が入れ替わった?
学界の論文を読んでいないので本当のところはよくわからないが、数年前まで私のような一般大衆向けに刊行された書籍では、倭人伝の里程記事について次のような説明がよくされていた。
「倭人伝の行程記事で、陳寿は『その道里を計るに、まさに会稽東冶の東にあるべし』と書いている