連載:倭人伝の真実に迫る

29. 魏志の「里」について(1)

何度も書くが、書くうちに焦点が絞られてくるだろう。もう一度「陳寿の仕掛け」の観点から魏志の長短里について整理する。「短里の存在」は谷本茂氏によって証明され、倭人伝の「短里」は日記#26で証明できた。現代の地図でその道筋も短里で再現できたので、倭人伝の「短里」は確定事項と思っている。ここまでくると三国志本伝の長短里混在を重く考える必要がなくなったと思っているが、短里について本伝でも陳寿が何かしら仕掛けている。倭人伝に短里が使われた理由は「明帝の改暦」や「曹爽の思惑」が考えられるが、それは魏の景初(237~239)と正始(240~249)年間である。

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