夏の独り言

『あら、また』
『そう、また』
『誰もいないわよ』
『わかってるさ、だから』
『ひまつぶし?』
『違うよ』
『淋しいから?』
『それも、ちょっと違うかな』
『じゃあ、私の声が聞きたいから?』
『今から、独り言言うから、聞いてよ』
『何、それ』
『いいから、聞いて』
『変なの、でも、どうぞ』
『これからも好き』
彼女も、心の中で、私もって、答えていると感じながら、彼は、まだ蒸し暑い空を見ていた。

カテゴリ:アート・文化